『ナラティヴ・カーニバル』で組織とナラティヴについてお話しました。

4月20日と21日の二日間にわたって開催された、ナラティヴ実践協働研究センターが主催する『ナラティヴ・カーニバル』に参加しました。

ナラティヴ・カーニバルは、必要とされるが経済的な理由でご自身の力だけでは受けることができない方へカウンセリングをお届けするためのファンドレイジング・イベントであり、かつナラティヴ・アプローチに取り組む人々の様々な実践をシェアする場でもあります。主催するNPACCの国重(Kou)さんの文章(参照⇒ナラティヴ・カーニバル構想(妄想))からも、学会やカンファレンスといった権威的なイベントからは距離を置いた場づくりを意識していることが感じられ、そのオルタナティヴな雰囲気が私は大好きです。

今年は3つの分科会に関わりましたが、中でも「組織とナラティヴ」について話す機会を頂いたことが私にとってとても重要な時間になったと思っています。

タイトルは、「組織にナラティヴの考えを持ち込むってどういう感じ?」
このような問いかけの表現にしたのも何か出来上がった主義主張を発表するというより、このプレゼンから感じたことを皆さん自身でもさらに考えを深めていくきっかけになったらという願いがありました。

我々が目指したのは、手法やスキルを使うというところからナラティヴ・アプローチという姿勢で組織を見ていきませんか?というところへのお誘いです。
特に「すでにあるものを再発見して、新しい意識で使う」という姿勢の大切さ。これを我々の実践のお話を通して聴いて下さる皆さんと分かち合いたいという願いをもって臨みました。

拙いプレゼンテーションだったかもしれませんが、参加してくださった方がchatに書いてくださったことを拝見させていただき、その意図は伝わったように感じることが出来てとても嬉しかったです。加えて、聴いて下さった皆さんの声からも、ご自身の体験に紐づけて「すでにあるものを再発見」している様子を伺うことが出来たのもすごく嬉しいことでした。

  • そのような意識で言葉を発していくことが皆で組織を構築していくことに繋がるのかなと思いました。
  • 当たり前のことを粘り強く紡ぐ。不確実耐性をもって。勇気をもらいました。
  • 「あり方」を具体的な言葉で表現していくことが心にしみました。
  • リーダーでない人がリーダーシップ出来ることが大切ということばが印象に残っています。
  • どのように聴き、どのような言葉を選ぶかもとても大切だと再認識しました。
  • 決して「技法」に飛びつくのではなく「在りよう」も含め大切に関わっていきたいと思います。

ナラティヴという言葉があちらこちらで語られるようになり、組織開発の文脈においてもこのナラティヴ・アプローチという手法やスキルを組織にどう活かせるだろう?という話題が頻繁に語られるようになりました。そのことはとても大切なことだと思いますが、「どうすればいいか」というやり方はその背景にある思想・姿勢・志あってこそ活かされていくもの。

自分自身もやり方に意識が向いていた時がありましたが、その後の継続的な学びのおかげで、その背景にあるあり方とは何かを少し言葉に出来るようになってきたと感じています。特に組織での取り組みにおける「ファシリテーターの脱中心化」や「ファシリタティヴ・リーダーシップ」については、今後も探究し続けていきたいテーマであり、それをお話できたことは私にとってとても重要な価値ある時間になりました。

今回、この場に参加してくれたKouさんから「新しい意識に私たちが向かうことがチャレンジなのだ」という言葉を頂きました。
まさにチャレンジ。社会構成主義やナラティヴ・アプローチが大切にする意識というもので世界を見続ける難しさにチャレンジすることを諦めないでいたい。会話を止めないこと。対話し続けること。そんな願いが少しでも皆さんに伝わり、皆さんの実践に影響し、その周りにも浸透していく、そのきっかけになったなら本当に嬉しい限りです。