社会構成主義というパラダイムに目を向けてみることの大切さ

ヴィヴィアン・バーの『ソーシャル・コンストラクショニズム』を読了。
1年以上本棚の肥やしになっていた本ですが、トレーニングコースの課題図書になったことを機に、昨年から仲間と共に読み進めてきました。
そもそも、定義づけ内社会構成主義の文脈において、最も安直には説明することが難しい「社会構成主義」を色んな方向から紹介してくれている本です。
「比較的分かりやすい、良心的な案内書」と訳者は書いてくれているものの、私たちにとっては優しい本とは言い難いところにあるものだと言えそうです。

ただ、この本のおかげて、社会構成主義といえばK.ガーゲン・・という一括りには出来ないものなのだ、ということを知ることができました。
そして、社会構成主義に批判的な文脈も含まれているところも、学者の方の探求心に頭が下がる思いです。

とにかく、著者はこのスタンスに希望を持ってるのだ、という大切な願いが伝わってきます。

「主流派心理学の本質主義や還元主義や二元論を回避するためは、自己であることや人間であることが何を意味するのかの私たちの理解が、根本的に変わらなければならない」

本質主義や還元主義や二元論って心理学に限らず、これまでの当たり前だったもの。
それを否定するわけではありませんが、それだけでは行き詰ってしまう時代になっていることは明らかです。
そんな時に、この社会構成主義というパラダイムに目を向けてみることは、とても大切な気がします。